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By wps.

社会人のための英語学習:総論③(学習のコツ)

前回の記事では、筆者がどのような過程を辿って英語能力を伸ばしてきたのか、具体的なエピソードも交えて紹介した。幸いなことに、一時期から、「英語ができる人」という評価を得ることができるようになり、効果的な英語学習のコツに関して周囲から助言を求められるようになった。しかしながら、例えば5年前、3年前の自分と比較して、米国駐在やオンライン英会話総学習時間15,000分を乗り越えた現在の自分の方が、その後の英語力の上昇を加味して、より正確なアドバイスができるのではないかと思う。今回の記事では、英語学習:総論のまとめとして、社会人のための学習の肝となる3つのポイントを整理する。

1.「継続すること」こそが正義

数年の中断があったものの、結果的には大学時代から15年以上にわたり自主的な英語学習を継続してきたことが、現在の英語力に繋がっている。停滞していた時期は短くない。TOEIC LR 800の壁は高かったと感じていたし、その後はTOEIC LR 900の壁を長らく超えることができなかった。TOEIC LR 900を取得した自分は、それ以前の自分と比べれば英語を使ってコミュニケーションができるようになっていたと言えるが、今から思えば全然使いこなせておらず、ネイティブスピーカーとの会話は「なんとか凌いでいた」というレベルだった。

それでも今は、TOEICのスコアに頼らなくても、「英語が使えます」と初対面の人に言うことができる自信が芽生えている。社内で、「英語ができるんだよね?」と聞かれた時に、謙遜して自分の英語力を低く見せて予防線を張る必要性を感じない。そんなことよりも、相手が必要としてくれているのであれば、苦労してでも自分の英語力を使って貢献したいと強く思う。毎日こなすオンライン英会話のフリートーク25分間で、冷や汗をかきながら言葉を探すことはもうない。淡々と機械的に、直接的に知らない単語は、自分のボキャブラリーの範囲内で言い換えて会話をこなせるようになった。漠然と、「今後重点的に勉強していきたいこと」のイメージがあり、長期的には今後も英語力を伸ばしていけるだろうという確信めいたものがある。

こういった実感は、継続学習の賜物だ。英語力の向上に近道はないし、時にはステップアップのために非常に長い時間を要するのだけれど、勉強にかけた時間は、少なからず自分の利益として返ってくる。「めちゃめちゃ英語ができる人」に短期間でなるためのハードルは高いと思われるが、社会人が仕事で使うための一定の英語力であれば、20代~30代前半の時間を継続的に費やすことで達成できる。そのためには、英語学習の中断や挫折を避けることを最も重要な問題として位置づけ、継続学習の障害を常日頃から排除することに力を入れるべきだと考える。学習の中身はもはや二の次だ。

2.常に自分がやりたいと思う教材/勉強法に取り組む

継続学習の障害を排除するためには、自分のやる気が出る教材にだけ取り組み、飽きて日常的な勉強を投げ出すような事態を避けるに限る。ありがちなのは、知り合いに勧められたりネット上で人気になっている参考書・単語帳・学習サービスを深く考えずに購入し、試しに始めてみたものの、自分には合わず、そこで英語学習が終わってしまうことだ。いくら英語ができる人がオススメしていたとしても、それが自分に合うとは限らない。

参考書等を購入した場合、初期コストを支払ってしまっているので、金銭感覚のある人であれば「これを終わらせなければ別のものに取り掛かれない」と考えてしまって、前に進めなくなる。やる気が失われてしまっているので、終わらせることも出来ず、かといって別の参考書等にチャレンジすることもできず、その時点で英語学習の道が終わってしまう。当初は英語学習に力を入れようと気持ちが盛り上がっていたにも関わらず、とてももったいない。自分の場合は、Duo 3.0がそういった例に当たる。

まず、参考書等の選択に関しては、自分が納得するまで熟慮すべきだと思う。知り合いのアドバイスを鵜呑みにせず、ネット上のレビューをできるだけ読んでみて、かつ、本屋で何度も手に取ってみて、初めて購入するのがよい。「この参考書であれば何週も繰り返し勉強できる」と思えるのであれば良いが、不安要素が残るのであれば、より負荷が軽い又は興味をひく参考書を選ぶべきだ。

または、お金はかかってしまうが、ある程度は自身の参考書等に見切りをつけて、新しいものに取り掛かるのも許されるべきであると思う。判断基準は、例えば1ヶ月もその参考書に手を付けていないのであれば、もはや取り組む気力がないのだから、英語学習自体を中断することと天秤にかけて、新しい参考書を入手して気持ち新たに取り組むべきだ。

以上は参考書等を購入した場合の考え方だが、勉強方法自体にも言うことができる。例えば、多くの英語学習ブログにおいて、音読、シャドーイング、英語日記などが効果的な英語学習法だとして紹介されている。自分は、これらの勉強方法が無駄であるとは言わない。多くの人に勧められているだけあって、恐らく、かなりの効果があるのだと思う。だけど、負荷が強すぎて、勉強するための場所を選び過ぎて、自分にはできない。だから、ほとんどやったことがない。貴方がやれるならやればいい。しかし、できなくても自分を責めてはいけない。個人の性格や英語力に応じた向き不向きは確かに存在する、やる気が維持できる負荷の軽い勉強法を見つける方が良い。

3.仕事/プライベートの垣根を無くした学習時間

自分が現在の職場で「英語ができる人」という評価を得ている理由の一つとして、「仕事に直結する英語にプライベートの時間も使って長く親しんできた」ことが挙げられる。ボキャブラリーの問題は非常にやっかいで、「知っていなければ始まらない」単語は数多く存在するが、それをマスターするためには気が遠くなるような時間を必要とする。特に、各人の仕事で使う単語は業界により大きく異なるし、それをまとめた単語帳など基本的には存在しない。そのため、専門分野に特化した英語にできるだけ慣れ親しみ、その中で頻出となる単語や表現を学んでいくしかない。

私の場合、仕事に関係する分野のニュース記事や論文を打ち出してひたすら読むことが習慣化しているが、これは通勤時間や昼休みだけの話ではなく、自宅に帰ってからや週末にも言えることだ。平日には、登録してある仕事関係のニュースレターが夜に届けば読むし、週末には、移動中の時間を利用したりわざわざ図書館に行ったりして英語論文を長時間読むこともあった。加えて、仕事に関係する著名人のスピーチや、セミナー&シンポジウムの動画がYouTubeにアップロードされていないか日頃からチェックし、料理などの家事をしながら聞き続けることもある。

こうした「自分の仕事に関係する英語」に触れる時間の蓄積が、自分の英語力を何らかの形で引き上げていることはもちろん、「仕事に使える英語」の理解の向上に確かに繋がっている。単語や表現に慣れているからこそ、仕事を通じて会う外国人の話す内容の理解が容易になり、会議のメモ取りだけでなく、英語による書類作成のハードルも下がってきていることを感じる。

「自宅に帰ってきてまで仕事に関係することをしたくない」という人もいるだろう。十分に理解できるし、自分だって日本語で同じようなことをやれと言われれば苦痛に感じる。一方で、「英語力を伸ばしたい」、「職場でも英語を使って活躍したい」と考えている人にとっては、一石二鳥の勉強法であると思う。参考書等に取り組むだけが勉強ではない、特に、一定の目標がある社会人にとっては、仕事/プライベートの垣根を無くして英語に取り組む時間をできるだけ持つことが、英語力の向上と社内での評価に直結するのだと意識すべきだ。

まとめ

以上の3点が、個人的に重要だと思う社会人による英語学習のポイントだ。英語学習を継続することが最も重要であり、そのためには自分に合った負荷の軽い参考書等/勉強法に常に向き合うことが欠かせない。その上で、プライベートの時間であれ、仕事に関係する英語に取り組むことで、自分にとって必要な「使える英語」が効果的に伸ばせる。次回からは、社会人のための英語学習:各論として、TOEICやオンライン英会話といった個別の学習トピックに関して考え方を述べていきたい。

投稿:4/04/2021