ONE AND ONLY !!

By wps.

自衛隊一般幹部候補生採用試験(陸上)

各所で開かれる説明会で名前を登録しておき、願書配布時期が近づくと、最寄りの出張所よりハガキが届いたので願書を取り寄せた。その時点で担当の自衛官が付く。例外はあるかもしれないが、出張所(地本)の担当官は非常に良くしてくれる。地本の人々は、自衛隊への入隊者・志願者を増やすために、涙ぐましい努力をされているのではないだろうか。丁寧な対応に、第一希望でない人までもが心を動かされてしまうに違いない。私の場合、自分が肉体派ではないために希望順位は低かった。そのせいか、願書にめんどくささを感じていて、やる気もなく書いていたため、一枚目の願書は修正しなければならないことが後からわかった。すると、なんと担当の自衛官は自宅まで新しい願書を届けに来てくれたのである。(これには家族も驚きを隠していなかった。ここまでしてくれたのにも関わらず、私はまた記入ミスを犯し、結局出張所内でその担当官に見守られながら書くことになった)

【自衛隊一般幹部候補生 1次試験@十条駐屯地】

一次試験(筆記)は、各都道府県単位で陸海空に分かれて試験を行ったようである。一般教養は試験時間200分に対して、その1:30問とその2:30問の計60問を解答する。その1(一般知識系)では、1~30の内20問を選択解答し、英語を10問必須解答。その2(一般知能系)では、文章理解10問と数的処理20問を解答。一般教養のレベルは総じて国Ⅱを大きく下回っており、国家Ⅱ種試験の対策をしてきた人には簡単すぎる問題ばかりではないだろうか。時間は長いが、問題数も多い。テンポ良くやっている人には十分過ぎる時間だが、そうでない人には厳しいのかもしれない。毎年1問は自衛隊に関する問題が出ているのが特徴だ。数的や文章理解の作りも非常に素直。私はこの試験中、気持ち良く解けることに感動し、涙が出そうになった。

専門択一(1時間50分)では、人文科学・社会科学・理工学3科目の内から1つを選んで解答する。公務員試験併願者ならば、行政・法律・経済科目が出る社会科学を選択するのではないだろうか。私が解いた限りでは、教養ほど簡単ではなかったように思えた。経済学では見たこともないような問題が出ていたし、行政法では「義務付け訴訟」のように新しい傾向のものが見られた。専門択一は、公式過去問題集に収められていないので対策がしにくい。ただ、これといって特別な対策は必要なく、通常の公務員試験の勉強をして確実な部分で点を取っていけばいいのだと思う。知らない問題が出ても、不安がる必要はない。

専門記述試験は、1時間30分で2題を解答する。19科目ある内から任意の科目を選択だ。私は英語を選択して解答した。「日本文・英文それぞれを、説明せよ」という問題だったが、「『説明』ってなんだ…?」としばし混乱し、余裕がなくなったため全訳した。よくあれで受かったと思う。時間もギリギリだった。私の受けた時は、法律を選択するほうが無難だった。都庁・特別区・県庁など地上受験者は専門記述の対策をしてきたはずなので、アドバンテージがあるだろう。専門記述は科目間で相当難易度の差があり、選択した科目によっては地雷を踏むことになる。英語に多少の自信があり、受ける前から選択を決めていたため意固地になってしまった私は、正常な判断ができなかったと言える。

【1次試験合格発表】

「事前に連絡がある」といううわさもネット上にはあるが、発表当日の朝9:20過ぎに担当自衛官より電話をもらう。2ちゃんねるでは、8:30頃から電話をもらった旨の書き込みがあったので、「もう落ちた……o(iДi)o」と9時の時点では考えていた。そのため、電話が鳴り出した時には心臓が止まりそうになった。担当の方の勧めで、地本の募集班長に指導をしてもらえることになる。一対一で面接・論文を教えてもらい、希望すれば模擬面接や論文添削も行ってもらえるようだ。私は国Ⅱが控えていたので利用しなかった。

【2次試験対策説明会@目黒基地】

地本毎に2次試験に向けた説明会が開催される。東京は埼玉と合同で行われた。論文・面接の注意点を説明された後、模擬面接・リクルーターとの懇談会があった。模擬面接は6人1組で行われ、面接を行う様子を他の5人が見ている格好となる。他の受験者がどの程度のレベルなのかわかるので、参考になった。中にはガチガチに固まっている人も居るので、私は少し安心できた。また、この時の面接は限りなく本番に近い。質問内容も本番同様で、似たような質問を実際にされた。絶対に受けておくべき。

【自衛隊一般幹部候補生 2次試験@朝霞駐屯地】

2次試験の日程や場所は1次試験合格の通知と共に知らされた。朝8:00までに集合だったので、5:00起床、6:00出発だった。関東の陸上自衛隊志願者は、東部方面総監のある朝霞らしい。私はかろうじて行ける距離だったが、人によっては前日より現地入りして宿泊する人も出ていたようだ。この現象は全国で見られる。近隣のホテルはすぐに満室になってしまうため、通知が届いたらすぐに、志望順位によっては通知が来る前から手配をした方がよい。

9:00より論文試験(60分、28×62=812字以内)。安全保障問題もしくは、国内の社会問題の2つの内、1題を選んで解答する。どちらを選択したのか、マルをつけるのを忘れてはならない(試験終了直前に気づいた愚か者です)。過去にどのような問題が出たのかは地本の人からもらえる資料に記載されているので、参考にすると良い。文章量は少ないので、用紙の最後の行まで埋めることを勧められた(見栄えが良いそうだ)。

その後、身体測定が行われる。面接の班の中で順番が若い人はすぐに面接に呼ばれてしまい、面接終了後に身体測定という流れになる。下図のように仮定すると、1班1・2、2班6・7、3班11・12はすぐに面接試験となる。この表は論文試験後に張り出されるため、「身体測定の気持ちでいたら、突然面接に・・・・・・」ということもあり得るので注意したい。また、3・8・13の人たちは身体測定後、昼食を食べずに面接に呼ばれる(私がそうであった。朝も早いので腹も減っている状態で面接に行かされる)。

1班 2班 3班
1  6 11
2  7 12
3  8 13
4  9 14
5 10 15

さて、身体測定であるが、視力検査に不安を覚える人も少なくないだろう。視力検査は、この年より「~裸眼視力が0.1以上で矯正視力が0.8以上(飛行要員を除く)」という条件に改められた。緩和されてきているようである。方式としては、機会を覗きこんで、輪の欠けている部分を選択していくもの。裸眼・矯正をそれぞれの状態で検査を行い、悪すぎると計測不能となる。そうなると今度は、数メートル先の目標が見えるかどうかを、用意されたレンズを使って検査していく。視力が悪ければ用意されたレンズでは到底見えず、次々と度の強いものに変えていき、そうして焦点の合う度数を検査結果として記述される。

身体検査は、他にも関節がちゃんと動くかなども検査される。腕を回すといったなんともない動きだが、医官のチェックは少し緊張した。細かいところもチェックされるらしい(骨格の歪みなど)ので、自覚症状のない人でも心配な人はあらかじめ確かめておいた方がいいだろう。

面接は三対一で行われる。面接官にそれほど裁量がないらしく、全国ほぼ一律のことしか聞かれないという(地本の自衛官より)。私の場合、質問内容やその配役までも模擬面接そっくりだったので、焦ることもなく答えることができた。また、陸上自衛隊の面接だからといって、陸上の幹部だけが面接官にはならない。海上や航空の幹部が混じってくることもある。配役は、左:家庭環境について・真ん中:幹部自衛官について・右:受験者本人について、といったところだろう。陸上のみ面接カードがないので、資格などを書けるだけ願書に記入しておくべきだと思う。終始なごやかで圧迫もなく終了する。終わった人より駅まで送迎してもらえる。

投稿:1/01/2010